サイトのタイトル「豊穣」、豊穣とは自然から授かった「汗をかいたご褒美」です
☆チー君日記☆

飼い主が不在になってしまった老犬介護の記録(4)

平成二十年三月一日~七日



【十五日目】 平成二十年三月一日(土曜日)

   午後三時半に「チー君」に会いに行きました。「鳥ささ身」を二つ与えて芸を仕込もうと思っておりますが、途中で可哀想になり何にも出来なくても「鳥ささ身」を与えてしまいます。体をさすると気持ち良さそうな眼差しを向け、「あっ、気持ちが通じている。」と感じました。未だ、お互い話せないのですから感性が大事な言葉なのです。「後で来るよ。」と言い、「チー君」宅を後にしました。

  午後九時、「チー君」宅を見回り、声を掛けるとふすまの裏からニョキっと顔を出し、タレ眼でうさん臭そうに見つめます。なんと愛嬌のある顔か、自然に笑みがこぼれてしまいました。今日は、午前に顔を出せませんでした。車で二十分の時間がかかる農場に金魚の養殖実験を観察に行かなければなりません。寝る時間がなくなってしまうので「チ-君」に会いに行く事はやめました。


【十六日目】 同三月二日(日曜日)

   午後三時ごろ東京の弁護士先生が土浦に来られ、「チー君」の飼い主も介護施設より「チー君」のところに来ていました。たまに訪れる弁護士先生は、申し訳なさそうに一生懸命になって家の周りの清掃に奮迅していました。「チー君」を散歩に連れ出すと、飼い主が一緒に行きたいと言って、「チ-君」の長年の散歩経路を説明しながら廻ってくれました。途中「チ-君」の飼い主は、八十八歳の高齢ですので疲れてしまい、何回も立ち止まりながらようやく散歩を終えました。「チ-君」も、何か飼い主を心配そうな表情で見ている様子でした。「さすが飼い主。」と言う事です。

  「チー君」に飽きられないように、餌をいろいろと替えながら食べさせている事を告げ、現物もお見せしたら、「チ-君」の飼い主はようやくほっとしたようです。飼い主は、初期の「認知症」があり、言った事話した事を直ぐに忘れてしまいます。暖かくなったら、飼い主の養護施設にも散歩がてらに立ち寄る事もしようと思っています。飼い主も八十八歳、「チー君」も百歳を超えています。どちらも、出来るだけ長生きしてほしいものです。


【十七日目】 同三月三日(月曜日)

   今日は、水処理の契約をしているホテルチェ-ンの仕事があり、午前中から泊りがけで下関のホテルチェ-ンに出張です。そのため、午前三時半に「チー君」宅に会いに行き、急いで散歩です。この時間に散歩では、夜が空けてしまいます。「チ-君」にすれば、そんな事情などお構いなしで、何時もの通りゆっくり散歩です。10回以上も立ち止まりおしっこをする姿は威張っているのか、ノルマなのか匂いを嗅ぎ続けています。時折雑草の先っぽを食いちぎり、食べています。

  本当に愛嬌のある容姿で、尚且つ胴体が長く太っているので、しみじみ「大きいなあ。」とひとりごとをつぶやきながらの散歩です。この犬、本当にマニュアル通りと言うか、判を押したように毎日同じに散歩の形を貫いているのです。これこそ地球の摂理のようです。帰りは明日の夜になるので、「チー君」には良く話し、餌も豊富に入れ水も満タンにし、明日夜には会いにいけると思います。それまで待っててくれよ。

  十二時の電車で東京に行き、モノレールを乗り継ぎ羽田に到着しました。飛行機で小倉に到着し、下関にあるホテルチェ-ンに伺いました。早速「水再生処理」システムの視察と点検を兼ねて行ないました。風呂水を、トイレの水と清掃用洗浄水使用にするシステムです。


【十八日目】 同三月四日(火曜日)

   小倉から午後三時の飛行機に乗り午後六時に羽田に到着し一路土浦へ、午後八時半に到着しました。自社に帰り、家族に報告しそれから研究所に行き、犬や猫を舐めるようになでてから、仕事をし午前二時半に「チー君」に会いに行きました。すると、飼い主の洋服を抱きかかえるようにして寝ていました。電気を付けると、ゆっくりと立ち上がり「遅いぞ」と文句を言いたそうな眼差しを向けられました。

  直ぐに散歩をするため引き綱を握ると、ゆるりと顔を向けて来ました。「チー君」は、夜の方が車や人にも出会わず散歩が出来るのです。判で押したようにいつもの場所で便をして、匂いをかぎながらおしっこを十回ほど、同じところにひっかけ、草を食いちぎって食べて、何時もどおりの散歩です。今日は「チー君」の大好物である「鳥ささ身」を買いました。「鳥のささ身」を口に近づけると「パクリ」とおいしそうに食べます。時間を掛けて大きくゆっくりの散歩をしました。パック入りの肉の餌が今日でなくなったのでいろいろな種類の缶詰を買って「チ-君」宅に持っていきました。

  「超自然水」も、「死なない餌」として開発販売しているドックフードです。三日の朝に沢山入れておいてあったのが、結構食べていました。いよいよ元気になってきました。


【十九日目】 同三月五日(水曜日)

   全ての仕事を終え、午前三時「チ-君」宅に到着。到着後直ぐ散歩に出かけました。便、おしっこ、匂い、となかなか動かず閉口しながらの散歩です。「ひっぱるな」と言うような顔を向け、僅か五百メートルの距離を四十分掛けての散歩です。「チー君」は特に匂いが気になるらしく、丁寧にかぎ別けて犬の情報収集しているのです。犬は臭覚が特に優れている事がわかるような気がします。

  「鳥のささ身」を何時も持ち歩いての散歩なのです。すると、「鳥のささ身」の匂いが気になるらしく、立ち止まっては眼をむけ「早くくれ」と言いたそうに私の顔を見上げてきます。動かなくなったときの為の「鳥のささ身」なのですから、じらしながら駆け引きをしているような、まるで知恵比べです。道路際に生垣があるところでは必ず立ち止まり、匂いを丁寧にかぎ別けている姿は真剣ですが、動いているときには見上げて「鳥のささ身をくれ」と言う目で私を見ます。

  散歩が終わると、玄関先で一服でもしているように玄関には入りません。今までの高齢犬用缶詰の味ではなく、主に動物たんぱく質の栄養価のある缶詰を与えました。栄養価の高い缶詰のほうがおいしく感じられ良く食べます。高齢犬用は脂肪が少ないので味が良くないようです。犬は雑食ですが肉食性がつよいのです。水を取り替え、「超自然水」を半袋水に入れて、残りの半袋は缶詰に混ぜます。ほとんどが中国製品であり信用できないので必ず「超自然水」で予防の調整をしています。白内障も進行していて歯も犬歯以外抜けている歯が多いようです。「今日はここまでで帰るよ。」と言い、もう一度車のライトの明かりで「チ-君」を確認して帰宅しました。


【二十日目】 同三月六日(木曜日)

   午後三時に一度「チー君」に会いに行きました。「鳥のささ身」を一枚ちぎりながら与えると、他は積極的でないのに「鳥のささ身」には眼を輝かせて「早くくれ」と言う目で見るのです。ちぎりながら与え、頭とほほをなでながらついでに背中も撫でると、気持ち良さそうに尻尾を二、三度お世辞のように「パタ、パタ」と振るのです。

  多分、体をさすってもらっていた事が遠い昔の記憶から抜けてしまっているのではないかと感じました。なるべく触れ合っている時間が大事な作業の一つになるのです。午前三時半に仕事を終えて「チー君」宅に行き、散歩をしました。今日は、便とおしっこをし終えると、さっさと自宅に帰ってしまいました。体調があまりよくありません。「まあいいか。」と一人でつぶやきながら、又鳥のささ身を与えて帰ってきました。この缶詰はやはり気に入ったようで、食べ方が積極的になってきました。「チー君」は年齢も重ねて知恵があるので、直ぐに缶詰も飽きてしまうのです。ドックフードタイプの「超自然含有フード」を乾燥餌に満杯にして帰ってきました。もう午前四時半です。


【二十一日目】 同三月七日(金曜日)

   今日はさすがに眠たくて、そのままコタツで寝てしまい、起きたのが午前四時半です。急いで「チー君」宅へ、到着したときには午前五時を過ぎて、薄明るくなっていました。「鳥のささ身」を一本持ち散歩です。「鳥のささ身」をちぎりながら与え、歩きながら立ち止まるごとに与えると、スム-ズに歩くからです。

  この頃、「チ-君」に接する時間があり、目を見るとかなり白内障があります。歯も犬歯と奥歯の間が抜けているようです。かなり齢を取っているようです。でも家の中での生活が主であり、細胞自体の老化は比較的少ないようです。少なくみても十七歳以上は経っているように感じました。でも「超自然水」を使用している現状で、余り年齢は気になりません。唯生きられる時間も迫っているように感じてもいます。人間のように思った通りには「超自然水」を食べてくれないのです。後は天命を待つしかありません。

  動作は緩慢です。内臓はしっかりしている現状、何の問題もなくこのままの生活であれば幸せを感じさせる事が出来ると思います。散歩も長い距離は必要ありません。気分転換と、コンディショニングで十分と判断しています。なるべく一日一回は外に連れ出せれば、と思っています。

  餌も、「チー君」が好きな餌を多く食べさせたいと思っています。それと、開発した「超自然水」はいつも乾燥餌箱と飲み水に入れています。万が一私が会いに行けないときの為、缶詰だけでは量的に少ないので、補充の為の予備餌を、二日分は置いてあります。「チ-君」には「超自然水含有フード」が合っているみたいで、一日に両手一杯分くらいは食べています。


(2009/4/08 配信、 次回続きは 4/22 配信の予定)