☆チー君日記☆
飼い主が不在になってしまった老犬介護の記録(3)
平成二十年二月十三日~二十九日
【八日目】 平成二十年二月二十三日(土曜日)
春一番と気象庁は報道しておりますが、同じ土浦でも「チー君」宅付近では今日は物凄く寒く、マイナスの体感温度に感じました。午後四時半「チー君」を散歩に連れ出すと、凍りそうな位寒く感じました。手袋をしないので引き綱を持つ手がしびれてきます。耳も痛いくらいの寒さを感じてしまいます。
昨日が十五度くらいの気温でしたので、急な温度変化は、数値以上に感じてしまいます。それでも「チー君」はなんとも感じませんが、人間の私は体の芯まで寒くなりました。少し遠方散歩に連れ出そうと思っていましたが、とても寒さには耐えられません。それでも三十分位は散歩に付き合いました。歩こうとすると立ち止まり、又臭いをかぎ続けます。
かなり臭いが気になるらしく、一ところでかなり長い時間を掛け入念に嗅いでいます。臭いは犬の本能を目覚めさせる大事な情報なのです。が、寒くて人間が我慢できません。顔までしびれています。早々に散歩を切り上げました。二、三日前より缶詰とドックフードを分けて与えています。混ぜると、食べ残した後缶詰の汁がドックフードにしみこみ、残餌に良くないと判断し、その処置をとりました。缶詰は与えると直ぐにきれいに食べてしまいます。
午後九時に顔を出す時に、必ず何回も「チー君」の名前を呼び続けながら、鳥ささ身を与えます。与えた後に手を顔に近づけると、舐めてくれました。ようやく「信頼関係」が出来てきました。午前三時にも同じように鳥ささ身を与えると、その後手を舐めてくれました。八日目にしてようやく認めてくれたようです。
【九日目】 同二月二十四日(日曜日)
今日も春一番の物凄く寒い風が吹き荒れていました。「チー君」宅に着くと、今か今かと散歩を待っている様子が伺えました。直ぐにチェーンを引き綱に取り替えて散歩に出ましたが、異常に寒い。風の当たらないところを探しながら三十分ほど散歩をしました。途中雑草を食べるのに時間がかかり、「待っている身にもなってくれ」と言い、引き綱をぐいと引っ張り、「歩け」と叫びながら散歩するのです。
今度は、引っ張られても「動かないぞ」とばかり伏せてしまいました。でかい図体ですから立つまで待たなければなりません。我慢、我慢とばかりに「チー君」が動こうとするまで待つしかありません。そんなこんなの三十分の散歩でした。食事は、ドックフードと缶詰とを別々に分けると、缶詰を直ぐに食べてしまいました。「特製のタレ」の影響がもろに出て、健康も次第に回復している様子が伺えます。午後九時頃に「チー君」宅によって電気を付けて、「鳥ささ身」を鼻頭らに付けると「ぱくり」とくわえ、おいしそうに食べます。歯も思ったより綺麗です。今日は、午前の訪問は中止しました。
【十日目】 同一月二十五日(月曜日)
二日間、春一番で異常なほどの寒さに感じましたが、今日は、穏やかな平常気温に戻りました。寒暖差に異常気象も確実に進んでいる事を裏付けられる二日間でした。午後三時半頃に「チー君」宅に到着すると、玄関の外に待っていたかのようにたれ目を私に向けていました。ご期待にこたえて「今日は少し遠くまで時間をかけて散歩に行くよ」と話しかけながら歩きだしました。
何時も引き綱だけを持ち、ねじれ鎌を忘れてしまい嫌がる「チー君」を又家まで引き戻すのですが、今日は昨日のうちに引き綱の上にねじれ鎌を乗せておいたので、忘れなかったのです。散歩途中の急な坂を下り、初めて二回ほど便をしました。今までで、初めてのことです。健康状態もよい事を裏付ける綺麗な便でした。
雑草が生い茂るところでは、例のごとく雑草を食べましたが、舗装の歩道では雑草がなくスムーズに歩けました。歩道には、今までで出合った事がない一番大きな犬が散歩していて、すれ違いましたが、相手が気を利かして離れてくれたので難を遁れた感覚で、ほっとしました。相手の犬が、近づいたときには耳を立てて身構えるのですが、離れると緊張がほぐれます。約一時間の散歩を終えて帰宅し、玄関先でおいしいそうな角切り肉パックを餌入れに入れ目の前に置くと、この頃表情があり、おいしそうに食べています。
頭をさすり、体をさすり、それでも安心している様子で、仲間と認め信頼関係が生まれ始めました。午後九時にも会いに行き、これが最後の一枚の「鳥ささ身」だ、と言ってあげると、おいしそうに食べました。今午前四時です。今日は会いに行くのを遠慮しました。
【十一日目】 同二月二十六日(火曜日)
今日は、韓国より「超自然水」で養殖をしている十年来の知人が来日しました。東京からの知人も来訪し出迎えするので、「チー君」宅に少し時間をずらし午後三時半に到着しました。散歩の為の引き綱を持つだけで、直ぐに自分から行く姿勢を見せふすまの外に出できました。例のごとく、最初の五~六歩は勢いよく引っ張られました。直ぐに臭いをかぎながらおしっこをかけ、又歩き出します。今日は時間もないので三十分ほどで散歩を終え、パックの肉餌を与え、食べるのを見届けると、直ぐに帰りました。東京の知人を土浦駅で車に乗せて、そのまま成田まで直行しました。今日はその様な事で夜は「チー君」に会いに行けませんでした。
【十二日目】 同二月二十七日(水曜日)
今日は、韓国の知人を接待するので時間がとれず、早めの午前三時に「チー君」宅に行きました。ドックフードを綺麗に食べています。「鳥ささ身」を一枚与えると直ぐにかぶりつき、のどにつかえるほど慌ててがつがつ食べました。おいしいこともあるけれどもお腹も空いていた様でもあり、「チー君」に申し訳なく思っています。一枚「ささ身」を持ち直ぐに散歩に出かけ、途中で「鳥ささ身」を与えました。食べ終わると「チ-君」は自分から家に向かい、又餌が食べたそうな顔に感じました。パック入りの肉を与えると今までで一番早く食べました。お腹が空いた時の為のドックフードも与え、そのまま巨大魚見回りに水族館に向かいました。
【十三日目】 同二月二十八日(木曜日)
今日も韓国人の接待で全然時間が空かなかったので、「チー君」に会いに行けませんでした。いや、行こうと思いながらいつの間にか寝てしまったのです。でも、昨日の事があったので、「チ-君」の餌は多めに用意をしていました。介護は犬も人間も変わりがありません。「痴呆症」もこのような気分なのではないかとも思いました。いずれは母の身にも降りかかってきます。
【十四日目】 同二月二十九日(金曜日)
今日も午前中は韓国人の接待があり、今日帰国するので、昨日のうちにいろいろな店に行き日本のお土産を持ちきれないほど探して買い込んでおきました。本当に山ほどなのです。成田まで送って行き、午後に横浜に足を伸ばし、経理の相談をして土浦に帰ってきたのが午後十一時半でした。直ぐに「チー君」に会いに行き、たっぷりと散歩をしました。「鳥ささ身」を与え、食べ終わってから今日は遠方に散歩しました。たっぷり五十分をかけての散歩でした。長い時間触れ合ってこの頃は、私も「チ-君」も心のコミュニケーションがなんとなく出来るようになってきているような感じがしています。
動作や動きが機敏であり、元気にもなっています。よぼよぼ感がなくなりつつあります。急に体中を触っても「びくっ」としなくなりました。丁寧に丁寧に気を使いながら「チー君」とのふれあいを大事にしています。まるで、一人芝居のように勝手に話しかけてもいます。「チー君」も私がしゃべっていると立ち止まって私を見ています。聞き耳を立てているようにも感じます。この様ななんでもないやり取りが本当に私にとっても至福の時間になっています。
捨て犬六匹、捨て猫十八匹を拾い続けながら飼っていますが、そのどれも「チー君」との触れ方とは違います。何時も頭の片隅には「チー君」の顔を想像している今日この頃です。
(2009/3/25 配信、 次回続きは 4/8 配信の予定)
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