サイトのタイトル「豊穣」、豊穣とは自然から授かった「汗をかいたご褒美」です
☆チー君日記☆

飼い主が不在になってしまった老犬介護の記録

平成二十年四月十九日~四月二十五日



【六十四日目】 平成二十年四月十九日(土曜日)

   午前五時半、最後の作業が終わり「チー君」宅に。入り口に背を向け寝ていましたが声を掛けると、「むくり」と頭をあげ顔を向けます。いぶかしそうな眼をむけ、凝視しています。「チー君」の直ぐ前に顔を出すと眼差しが柔和になります。チ-ズ、ささ身、砂肝の順で与えますが、チーズの包装紙を剥いている最中、舌なめずりをしながら頭が更に上を向きます。その動作が可愛いのです。

  最後に牛乳を器に入れると、パックから注がれている牛乳を空中で飲むのです。タイムリミットが近づいている事も事実ですが、夜明けで薄明かりの中、時間が止まって感じます。

  母から「ホテルに行ってもいいですか」と言う電話です。三十分後、到着しました。刺身を切っている間にご飯と煮物を母が好きに器に取り、勝手に持っていきます。急いで刺身を追加します。おいしそうに食べる姿がだんだん幼稚に見えます。話をすると私の言葉をオ-ム返しで話します。食後、マッサージ、スクワット二十五回をやり終え、メガネを洗浄し、「素通しだ」と言い、何時もどおりです。今日は、母に宿題を出したのです。「イカの塩辛が食べたい」と言ったら、食事中ずーっと考えながら食べていました。

  午後、妻と二人、ラーメンを食べに出かけました。妻は時々の食事や買い物が唯一の息抜きなのです。食後、ケーキを買って帰り際に「雄作にもあげたら」、と言うと、上げるかどうかは私の判断で決めるから先に言わないで、と言われてしまい、苦笑いしました。午後三時半、ホームセンターに行き、ささ身と砂肝を買い「チー君」宅に向かいました。曇り空ですが、気温は寒くはないので、すのこを洗浄し、すのこの下に引いているシートを見るとオシッコをあふれんばかりに吸着しています。「チー君」を玄関先に引き出し、下半身の部分に水を掛けると、びっくりして下半身を引きずりながら逃げようとしました。その時、嫌な観たくない部分が見えたのです。「床ずれ」からくる「褥痩」です。傷口が腐ってくる症状で、医学では完治できない症状なのです。

  思っていた通りになってしまいました。体も大きく自分の体重で下半身を圧迫し、おしっこが乾燥しないので、皮膚から腐敗が始まってしまったのです。予防として抗菌剤の「ハローコート」をすのこや散布できる所に噴霧はしていたのですが、肝心の部分は体がかぶさっていて散布が出来ないのです。動かそうとすると怒ります。どうにも治療が出来ないのです。いよいよ獣医を呼び、治療をするしか方法がありません。食事は良く食べますので体力的には落ちてはいません。


【六十五日目】 同四月二十日(日曜日)

   午前五時半、全ての仕事を追終え「チー君」宅に直行しました。表を向いて寝ていたので、声を掛けると直ぐに起きました。チーズ、ささ身、砂肝の順で食べさせ最後に「特製のタレ」が入った牛乳を与えました。「チー君」の所に到着して牛乳がないのに気付き、コンビニエンスストアーに再度牛乳を買いに行き、ついでに今日は沢山あげようと想い一リットル入りを牛乳を買って残すほどの量を与えて帰ってきました。朝六時になってしまい、このまま起きていようと思いました。十一時半には母が来ます。今日は何時もどおり、母とドライブがてらうなぎ屋で食事をしました。

  「チー君」も母もどちらも平均寿命をとうに超えています。後どれだけ延命するかは、介護にかかります。とは言っても母は、痴呆症、と言っても言葉は理解できますから大丈夫なのですが、犬の「チー君」の場合は非常に難しい状態です。明日弁護士先生に連絡し、一応獣医に診察させてから対応を考えようと思っております。午後五時半、再び「チー君」宅に。今日は暖かかったのか玄関先に出ていました。チーズ、ささ身、砂肝を与え最後に「特製のタレ」入り牛乳を与えます。ウンチも小さいのを一つしていました。

  チーズは一個十八グラムあり、一日六個を与えています。一個のチーズは五十九kカロリーで六個で産百五十四kカロリーで。ささ身は、百グラム二百三kカロリ-あり一日当り六十グラムを与え、三十五キロカロリーあります。牛乳は二百CCで百三十七kカロリーあり、一日当り三百kカロリーをま与えております。砂肝も一日当り五十キロカロリーを与えております。大型犬の一日当り基礎代謝は約三百kカロリーで、エネルギー補給に関して、ささ身、チーズ、牛乳、砂肝で十分な栄養補給となります。「いのち」の根源である有機物の植物生命酵素、イオン化ミネラルとがバランスよく配合されている「特製のタレ」も同時に与えております。


【六十六日目】 同四月二十一日(月曜日)

   午前五時半、「チ-君」宅に。玄関先で寝ていました。体が冷え、本来ならば玄関に入れるべきですが、動かす事自体が褥痩を悪化させてはとの想いが動かす事をためらってしまいました。直ぐに、チーズ、ささ身、砂肝、牛乳を与えると良く食べます。午後七時、牛乳とチーズを買って「チー君」宅に。門扉の入り口に大量の便がされ、濡れたオシッコのあともありました。これだけの代謝があれば、体調に関しては大丈夫であり、無理に獣医に見せなくともいいのではと思います。一応明日弁護士先生に連絡だけするつもりです。

  十一時半、何時もどおり母が自転車に乗りホテルに到着しました。何時もどおり、刺身定食を作り、おいしそうに食べていました。母も気を使って、昨日は菓子パン、今日はイチゴを持参してくれました。マッサージ、スクワット二十六回、スクワットは毎日一回ずつ増やし、三十回までさせるつもりです。がんばってやり終え、めがねを洗浄して「素通視」(メガネをかけないのと同じ意味)と言って帰って行きました。今日も誰もいないと寂しく帰ります。兄家族は本当におかしいと思っております。必ず後で、後悔するのでは思います。


【六十七日目】 同四月二十二日(火曜日)

   午前五時「チ-君」宅に。相変わらず玄関先に出ており、声を掛けると直ぐに起きて、チ-ズとささ身、砂肝、を食べさせるとおいしそうに食べています。

  牛乳も三百CC位を一気に飲み干してしまいました。今日は「チー君」の様態を弁護士先生に連絡しようと思っています。

  午前十一時頃弁護士先生から丁度連絡が入りました。こちらから電話を掛けようと思っていたところですから。「チー君」の様態をお話したところ、獣医に連絡し、「チー君」のところで獣医と会う事になりました。

  午後三時、獣医と松本さんが入居している養護施設の担当者が「チ-君」の玄関先でお話をしており、その時にお互いを紹介し軽い挨拶をしながら「チ-君」の様態を克明に獣医にお話致しました。結果として、「チー君」を一応獣医に預ける事にしました。良く傷口を洗浄してもらい診断をしてもらってから、治療をするかどうか弁護士先生にもお話をしました。

  弁護士先生と連絡を取り合いお話を聞いたところ、獣医の診察料金が高く、治療費が大変、との弁護士先生のご返事です。その後獣医とも連絡が付き、電話でお話をしたところ、入院した方が良いとの事でした。治療方法は、傷口の消毒と可能止めの薬を注射し続ける方法との事です。現在の医学では「褥痩」の治療がなく難しいのです。明日もう一度午前中に獣医と話し合うことで終わりました。


【六十八日目】 同四月二十三日(水曜日)

   午前十一時、関根獣医と「チー君」宅で落合いました。「チ-君」が住まいに運ばれていました。ずぶぬれで洗った事の強調かと思いましたが、「チー君」に触ってみると冷たくなって、ぶるぶると震えていました。直ぐにバスタオルで「チー君」の水をふき取り、「体力がないのに洗ったままの状態では肺炎を起こして死ぬ可能性がある」と獣医を脅かすと、獣医も直ぐに置いてあったタオルを取り、私と一緒に「チー君」の体を拭き始めました。

  気温もまだ上がっていないのにこの様な手荒い処置は許しがたいので、獣医を脅かしたのです。動物の死に慣れてしまっている証拠であり、飼い主の気持ちを理解しない獣医です。傷口も洗って消毒した状態です。とても預けてなんか置けません。「チー君」もびっくりして、おろおろしているのが手に取るように見えます。チーズをあげても、興味を示しません。一応、獣医は体裁を取りつくろって、いろいろと過去の難しい動物の治療を話していました。治療の中の話で魚類は全然素人同然でした。魚類は生き物の中で一番難しいのです。水を理解しないと治療など出来ようはずがありません。

  妻の父が仙台から上京しているのでしばらくして獣医と別れ、別れ際に「様子を見て、もし状況が芳しくなかったら連絡する」と言って別れました。あんな獣医になんか「チー君」を治療させるわけには行きません。急いでホテルに帰ると、丁度母もホテルに到着しました。何時もどおり刺身定食とマッサージ、スクワット二十八回、めがね洗浄をして帰りました。その間、仙台の義父には昼食を食べてもらい、時間をずらしました。

  午後十時、再度「チー君」の所に行きました。昨日からいろいろ獣医に手荒い処置をされて、食事も食べていませんでした。直ぐに、チーズ四個とささ身、砂肝、牛乳を与えました。おなかがすいていたようで、いきよい良く食べていました。午前一時半、従業員と二人で「チー君」宅に行き、「ハローコート」抗菌剤を使用し、傷口に噴霧しました。痛いので噛みつこうとしましたが、首を横から苦しくないように捕まえて、後ろの両足の「褥痩」の傷口に入念に「ハローコート」を塗りつけました。「ハローコート」は共同開発商品であり、濃度の調整と粉末と液体を混ぜ合わせる事も可能です。相当に嫌がりますが、仕様がありません。何回も下半身に噴霧し、傷口にたっぷり塗りつけた事を確認し、チーズ、ささ身、砂肝、牛乳、を与え帰ってきました。


【六十九日目】 同四月二十四日(木曜日)

   午前五時、全ての作業を終え「チー君」の見廻りに。体が濡れていたのが乾き、綺麗になっています。今日は獣医に連れて行かれ、相当に疲れているようでした。一リットルの残りの牛乳を上げると飲みだしました。夕方に沢山チ-ズとささ身をあげたので固形物は十分食べたので、チーズをあげても食べませんでした。傷口も幾分良くなっているようでした。

  今日は、母は針灸の日でホテルに来るのはお休みです。月に一二度ありますが、後は毎日来ます。午後十一時、再度「チー君」宅に。チーズ五個、ささ身、砂肝をおいしそうに食べました。今日は午後から雨で、一日中玄関先で寝ていた為にずぶ濡れでした。綺麗に乾いたタオルで全身を拭き、玄関に引き込みました。傷口の消毒をし、体の冷えを入念にタオルで摩擦し、体温低下を補いました。午前一時、従業員と二人で再度「チー君」宅に行き、「ハローコート」を使用し、抗菌しました。


【七十日目】 同四月二十五日(金曜日)

   午後七時「チ-君」宅に。午前中に仕出の注文が多くあり配達が間に合わず、マネ-ジャ-と一緒に配達を手伝いました。母からの電話でホテルの帰りに転んでしまい、右のひざをぶつけてしまい、今日はホテルに行けないとの事。何時も口癖のように、怪我には気をつけるようにと話していましたが、なってしまったものは仕様がありません。明日は針灸ですから二日続けて母の顔が見られないのはちょっとさびしい気もします。

  「チ-君」は相変わらず、玄関先で寝ていました。声を掛けるとひょいと頭をもたげます。きょとんとした眼で見つめます。そんなしぐさが可愛く愛らしいのです。チ-ズ五個、ささ身、砂肝、牛乳の順で与えました。今日は、夜の作業は休みですので、ゆっくりと家で過ごしました。朝方出かけるつもりです。


(2009/7/15 配信、次回続きは 7/29 配信予定。)