サイトのタイトル「豊穣」、豊穣とは自然から授かった「汗をかいたご褒美」です
☆土壌還元と廃棄物処理☆ logo

土壌還元による植物性廃棄物の処理


循環型社会と土壌還元

  循環型社会の例として江戸時代が話題になることがあります。その頃の日本は必要な資源やエネルギーの殆どを前年に降り注いだ太陽エネルギーでまかなっていたという試算があります。資源といっても植物資源が殆どでしたから、燃やしても捨ててもすぐにもとの土壌にそして植物体に戻るというリサイクル構造が保たれていました。例えば江戸時代の日本は製紙大国だったそうです。コウゾ・ミツマタ・ガンピが和紙の原料となる樹木ですが、コウゾの木を伐採するのではなく、その年の春に発芽して成長した一年生の枝だけを使っていたといいます。廃紙を燃やしても灰となって土壌に戻ります。自国だけでなく他国の森林資源も犠牲にして成り立っている現在の紙文化とは大変な違いです。稲作も、人手に頼る効率が悪い生産形態でしたが、エネルギー効率(投入エネルギー対収穫エネルギー)では、化石燃料なしに成り立たなくなっている現代の農業とは比較にならないほど能率的で合理的であったという試算もあります。廃品である藁も、堆肥として戻すリサイクル構造の一部であったことはいうまでもありません。

  今や江戸時代に戻ることは出来ませんが、あらためて注目したい事があります。それは当時のリサイクル構造の根源をなしていた土壌還元です。確かに現在の工業廃品や生活廃品は手に余るものがあります。最たるものはプラスチック廃品でしょう。これについて最近面白い提案があることを知りました。プラスチックは原油の変形だから高エネルギー源である。プラスチック廃品をエネルギー源として見直すことによって原油の輸入量を大幅に減らすことができる、というのです。この説に限らず、プラスチック廃品の処理や還元について一生懸命に考えたり研究している人が沢山いるということです。

  プラスチック廃品の処理も問題ですが、植物性廃棄物の処理も現代社会が抱える大きな問題です。生ごみのような生活廃棄物があり畜産に伴う糞尿処理があり、今は埋め立てしか能がないように見えます。このことについて考えてみたいと思います。


土壌還元が困難になってきた植物性廃棄物

  江戸時代まで戻ることもなくほんの30~50年前までは、都市部はともかくとしても農村部では、これらの植物性廃棄物は大半土壌還元が出来ていたのです。私が子供の頃、随所に人糞を堆肥化する「肥溜め」がありました、何度か落ちたこともあります。胆汁のアルカリ性酵素と大腸菌などの働きにより分解酵素が作用する、勿論消化酵素も分解酵素が主で消化器官から様々な酵素が出るのです。その様な腐敗を促す酵素が入り混じる人糞を自然が短時間で還元する順序として嫌気発酵時間があり、その後発酵して堆肥化する、そういう仕組みでした。今はバキュームカーが処理して、かわりに化学肥料が用いられる・・・そういう図式です。昔が懐かしいと云ったのでは、現在の農村を支える人々への侮辱とも受取られかねません。

  また例えば養豚につきものの糞尿処理、50年前までは畑の隅に「野積み」をして放置しているだけでした。それが一年程度で還元され、堆肥になり畑の窒素肥料として大いに田畑の野菜生産に貢献したのです。今は野積みでは追いつきません。こちらはバキュームカーというわけにもいかず、畜産業者の頭通の種になっています。野積みで追いつかなくなったのは、畜産規模が大きくなったこともありますが、糞尿が簡単に還元できなくなったことがあげられます。今は5年「野積み」にしても還元できなくなっているのです。「還元する」とは微生物が繁殖を繰り返し作用することで、水と空気と光そして温度の条件が整っている必要があります。微生物が活性する環境を好気条件といいます。ところが今の畜産は輸入配合飼料に依存しており、これには防腐剤をはじめ色々な薬品が配合されています。このような薬品が混入している排泄物である養豚糞尿は、微生物条件を嫌気条件にしているのです。還元が進まないのです。

  最新の養豚処理システムを見学したことがあります。簡単に言うと、糞尿を圧縮し水と糞に分ける濾過を2回施します。圧縮された糞は発酵樹木粉であるバ-ク米ぬかを混ぜ攪拌して堆肥にします。残留水分は防水シ-トが敷かれたプールに放流されます。そこから何段階もの濾過槽群を通り最後は地下3メートルの土壌に浸透させます。高額の投資が必要で運転費用も大変なものです。ところが、これほど大掛かりで高額な「養豚糞尿処理システム」も、周りの地下水からは有害微生物が発生し、有害汚染地下水になってしまっています。このシステムは基本的には「薄めて廃棄」という考えですから、根本的な解決にならないのは当然でしょう。


土壌還元を見直す

  私自身は土壌還元が自然の摂理に適っており合理的であると考えます。江戸時代のリサイクル構造の根源をなしていたのが土壌還元であり、昔に還るような発想ですが、ネットで見ると、好気土壌菌の働きに着目している企業や研究者が沢山いることが分かります。薬品の影響で嫌気条件になった環境下でいかに好気微生物を活性化させるかという研究が色々行なわれています。次ページで私が試みた例を紹介したいと思います。


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10/26/2008